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2010年 10月 05日

SUPRAMONTEのパイオニアの町オリエナ

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オロセイ湾のおよそ北西部を占有しているSupramonteの山岳地帯は明瞭な稜線が連なる起伏の激しい白色、灰色とも輝く石灰岩を伴うドロマイト山脈でOliena(オリエナ),Orgosolo(オルゴーゾロ),Urzulei(ウルツレイ),Baunei(バウネイ),Dorgali(ドルガリ)の5つの町を跨っている。
Supramonte山脈の最高峰はオリエナ側に位置している標高1463mのCorrasi(コッラージ)山である。
いつもオリエナ方面に向かう時、この荒涼とした人跡未踏の山中で急で険しく聳え立つ迫力に満ちたSupramonteの山が視界に迫ってくるのである。それはある種、少し大袈裟かもしれないがペーソスあふれる感動的とも言える光景なのである。

ご存知の方もいるかもしれないが無政府主義論者としても知られたイタリアを代表するジェノバ出身のシンガーソングライターの故Fabrizio De Andrèが1979年の8月に妻のDori Ghezziと共に4ヶ月間サッサリ県のPattadaの山奥にサルデーニャの有名な強奪グループによって不法監禁されたのだが、その後の1981年に発表されたFabrizio De Andrèのアルバムの中の1曲"l'hotel Supramonte"では彼らの誘拐された時の心境をメタファーを通して哀感込めて歌われているのである。
Fabrizio De Andrèがあえて題材としてPattadaではなくSupramonteを選んだのかは、このドラマチックに険しく切り立つ、まるで人を寄せ付けさせないようかに見える山塊が実は人々を魅了して止まないことが実際にSupramonteに訪れた人だけが理解出来るように思うのである。
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先日の9月の17、18、19日の週末の3日間にかけて催されていたオリエナの商業的お祭りコルテス・アペルタスに今回初めて訪れてみた。
コルテス・アペルタスは開かれた中庭という意味通り、普段決して開放されることのない個人所有の昔の富の象徴等が垣間見えるすばらしいお屋敷・中庭を貸しきって、その地元で生産、制作される産物を販売を兼ねて促進するイベントであるが、オリエナは昔ながらの住居がいい具合に保存されていてその時代の建築技法を知る上ではたいへん興味深い町なのである。
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たとえば上の写真のように木造のテラスというのはもう典型的なバルバージャ地方の伝統様式のテラスで私たちの住むガルーラ地方ではまずお目にかかることはないのだが、バルバージャ地方においてもほとんどが改装されてしまっていてなかなかオリジナルにお目にかかるのはむずかしい中、オリエナは本当に昔のお屋敷がうまく修復されながら残されているので感心した。
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オリエナといえば1972年からNepente di Olienaというオリエナ地方で生産されるCannonau 品種DOC(原産地呼称統制ワイン)で知られ、特にイタリアの詩人・作家のGabriele D'Annunzio がその昔オリエナに訪れた時オリエナのCannonauを味わい感嘆し、愛飲し続けNepente di Olienaの詩を残したのは有名な話である。
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オリエナ地方では葦の木と自生のオリーブの木とで編まれる籠が伝統的であるそうだ。
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1900年初頭の台所の様子や昔の竈(かまど)ではパスタの制作を実演して見せてくれる。
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そしてオリエナ地方の女性の伝統衣装の象徴であるショールの図案から実際の縫い取りの様子まで伺えて興味深かった。一枚の花柄が縫い取られたショールが完成するまで3ヶ月間、お値段が3千ユーロから3千5百ユーロだそうだ。
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バルバージャ地方で結婚式や各祭事の時に振舞われる全て手作業で行われている精巧な細工菓子のアーティストHòrosの Anna Gardu。彼女のように精巧な細工菓子が出来る人はもう島に数えるぐらいしか居なく彼女は貴重な存在なんだそうだ。そんなまるでジュエリーのような細工菓子を制作する彼女については別の機会にゆっくり紹介したいと思う。
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オリエナの町中を歩いているとこのようなプレートを所々の壁に目にすることが出来る。地元の人に尋ねてみたら、2008年からオリエナで郷土料理を推奨するレストランのオーナーたちが"Le vie del gusto"(味覚の街道)と記して、作家のGrazia Deleddaの作品からバルバージャ地方における古いレシピの記述部分の一節を12の陶器のプレートの中でそれぞれ表現されているのである。こういうことからもオリエナの人々の連帯感を感じさせられた。
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オリエナで有名な衝撃的な壁画。壁画アーティストLuigi Columbuによるもの。尚Luigi ColumbuはGiovanni Antonio Sulas先生の教え子である。
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そしてオリエナを去る前にPeppeddu Palimoddeに捧げられた広場に立ち寄った。壁画は全てLuigi Columbuによるもの。
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広場の中央奥には人物を描いた壁画があり、そこには"SupramonteのパイオニアPeppeddu Palimodde"と記してあった。

オリエナは今でもバルバージャ地方の魂ともてなしの心が宿る温かい町だった。


いつも訪問ありがとう。
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by portocervo1962 | 2010-10-05 04:07 | Barbagia di Ollolai


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