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PORTO CERVO の人々

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2010年 06月 12日

Sorresのサン・ピエトロ教会

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先日のボンナーナロ市のサクランボ祭りに向かう前にボンナーナロ市から少し南下したところに位置するBorutta(ボルッタ)という町に優優しく聳え立つサルデーニャ島のピサ・ロマネスク様式の教会を代表するものの一つに上げられているSorresのサン・ピエトロ教会に立ち寄りました。

この教会は新石器時代より小さい集落地域であったSorres(ソッレス)地区に11世紀の終りから建造が始まり、その後1170年~1190年の間に完成されます。
しかし14世紀にはSorres地区の衰退が始まり、スペインはアラゴン王国の支配の下Sorresの集落は破壊し尽されてしまいます。
1505年のSorresの司教区の消失までは大聖堂として君臨していましたが、司教区の廃止と共にサッサリ県の大司教館(現在のサッサリ県のドゥオーモ、サン・ニコラ大聖堂)に吸収されてしまいます。
後の1953年~54年にはベネディクト大修道院が隣接され、現在は大修道院教会として機能しています。
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教会は東西軸に33mの長さに、横幅11mの長方形で高さは11mほどの大きさです。教会の正面入り口は立地が許す限り必ず西を向いているのは西は死に対するキリストの勝利と復活への希望のシンボルであるためです。
建物全体には黒色の玄武岩と白色の石灰岩の四角形の切石を黒白の縞模様で彩られています。
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主に正面ファサードと後陣に黒白の二色使いが施されていています。またファサードを除いて建物は縦枠組みなしで切石が組まれています。
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正面ファサード部分は4つの層から分けられており、1段目は入り口の扉を中心に5本の小アーチに、左右端には小さい円窓が2つ配されています。2段目は7本の小アーチに中央には偽2連窓が配されています。また2段目の左右端の小アーチの中には深皿がはめ込まれていた跡が見受けられ、ここにもピサの装飾が見られます。
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そして3段目は3本の小アーチに中央小アーチ下にも小さい円窓。
1段目から3段目に渡る菱形とローズカットの幾何学的模様の象眼細工がシンメトリーに配されている姿がとても美しいです。
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1段目のファサードのタンパンと4段目には縦横が同じ長さのギリシャ十字が描かれています。これはビザンチン教会堂の形の基となります。
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教会内部は白黒の8本の角柱を左右4本ずつに分けられている三廊式で身廊はファサードの3つの円窓と後陣の3つの片開きの窓から放される光を受ける交差ヴォールトで支えられています。
石灰岩の白と玄武岩の黒の交互の帯の列が織成すアーチの遠近法がとても際立っています。
3つの円窓と3つの片開きの窓の3という数字にはTrinità(父と子と聖霊という三位一体)を表す重要な意味が含まれています。
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左側廊には紀元15世紀にまで遡る木製の聖母マリア像が収納されています。
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また正面から右身廊の3本目の角柱にはゴシック様式の大理石で出来た説教壇が設置されています。おそらく14世紀頃に遡る作品だと言われています。

実は1895年の修復作業で装飾の色調トーンが独断的で勝手な創作と修復によってオリジナルの外観が修正されてしまっているのがとても残念です。
尚、Sorresのサン・ピエトロ教会は1894年より国の重要文化財に指定されています。

by portocervo1962 | 2010-06-12 04:40 | Meilogu


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